2020/12/13・伊東 透明度12-15m 水温19-20℃
巨大な暗雲がもの凄いスピードでうごめきながら
移動していた。
先月,
伊東の海を覗きに来た時も、もの凄い質量の生き物たちが、
食い合いの壮絶な命を燃しあっていた。
一か月がたった今、
その質量は細くなるどころか、更に厚みを増し、
視界いーっぱいにそのドラマを継続している。
何度もレギュレーターが口からポロリと落ちそうになり、
それでも、ただ見上げるばかり・・・。
差し込む太陽光線に捕食者の影が走ると、呼応するように
うごめく暗雲は散り散りになってはまた塊り、
その都度何匹かの犠牲を払いながら必死に捕食者をかわす。
上からは、スマガツオ・ワラサ・カンパチが高速で。
中層には、マダイ、アオリイカが待ち伏せ。
水底には、クエ、エソ、ヒラメが一瞬の隙を窺っていた。
敵に囲まれながらも、
キビナゴ雲は更に仲間を呼び寄せその数を増やし、
捕食者たちが100%満たされたとしても
おつりが出る規模を維持しようとする。
もっとマクロに考えると、
このおびただしいキビナゴ達を満たしたとしても
おつりが出る規模を維持している動物性プランクトン、
その動物性プランクトンを支える植物性プランクトン、
植物プランクトンを支えるあらゆる有機物やミネラルが、
絶妙バランスで成り立っていないと、この規模の営みを
こんなに長い期間維持することはできないという事。
キビナゴの暗雲が立ち込める海の中を進むと、今度は、
クロホシイシモチ、ネンブツダイ、キンメモドキ
を混合して出来上がった、強固なさかな壁にぶつかった。
「すごいな今年の伊東・・・。」
ポロリとレギュレーターがまた口から落ちそうになる。
アフターダイブ、
いつも美味しい魚介を食べさせてくれるご飯屋へ。
待ち時間に車内でメニュー熟考中。
半紙に書かれた筆書きを見てるだけなのに、
頭の中にはカラフルな刺身が浮かんで生唾が止まらない。
胃にぽっかりスペースが出来上がって、ばっちこい美食。
楽しみは「食」へとスムーズに移行できている。
メニューには載っていない、
旬のタチウオを人数分塩焼きにしてもらった。
箸をさすと、ふっくらほこほこ&
湯気が立ち上がる。
口に運ぶと、ふっくらほこほこ&
うまみを含んだ香ばしい脂が鼻に抜ける。
訳あって一本だけのダイビングで終えていたアキラさんも、
思わずほっこりぐびぐび(熱燗音が混じりました)。
もちろんカラフルな旬な彩も添えて・・・。
年内は潜り収め・・・と言う方たちへ。
お付き合い頂きどれだけ救われたことか。
感謝申し上げます。
ひとりひとりの背景を背負い、
やれることをやるという点で、
出かける事も正解。出かけない事も正解。
共通の脅威にそれぞれが向き合いながら、
いましばらくの緊張状態は続きますが、
お体最優先に良いお正月をお迎えくださいっ。
一年間ありがとうございましたっ。
まさ