2019.11.3(日) 井田 透視度5~8m 水温23.2℃
世間は、ラグビーワールドカップの熱が未だ冷めずにいた。
日本史上初のベスト8進出。無傷の4連勝。
今大会が日本開催されたからなのか、大盛り上がり。
そしてここ、OCEANTRIBEにも、
そのラグビー熱は押し寄せていた。
『玉ちゃん、アーロン・スミスって知ってる?』
早朝に店を出てすぐに、
ハイエースの助手席に乗っているアオさんが訪ねてきた。
その時まで、
僕はアーロン・スミスという人物を知りもしなかった。
その時までは。
アーロン・スミスとは・・・
本名:アーロン・ルーク・スミス
所属:ハイランダーズ
身長:171㎝ 体重:84㎏
現代ラグビーのハーフバックとして名選手に数えられ、
バックラインの導火線と呼ばれる素早いパスを得意としている。
2015年にチームの中軸として
スーパーラグビーの優勝に貢献し、
ワールドカップの連覇に貢献した世界的なスクラムハーフ。
ニュージーランド代表:オールブラックスに選出。
説明を受けると、
その選手がいかに凄い選手かが分かった。
『その選手がどうしたんですか?』
っとアオさんに聞くと、
『マサシさんにそっくりなのよ。
グラウンドを小っちゃいマサシさんがちょろちょろして、
相手陣に突っ込んでくのよ。速くてさー、強いのよー。』
写真を見せてもらうと、確かに似ている。
もはや兄弟みたい。
すると、
『それ私も思った。すっごい似てますよね。』
後ろに座っていたツグミさんが反応した。
行きの車は、もう大盛り上がり、
総勢19名で海に向かっていた僕たちは、
ハイエース2台に乗っている。
前がマサシさん、後続を僕がハンドルを持つ。
マサシさんが、他の車を避けるたびに、
『あれがワールドクラスのテクニックだ!!』
とアオさんは絶賛する。
『素晴らしい判断ですねー!!!』
っとツグミさんとマサヒコさんも参戦する。
後続の僕車両の前側は、朝から大興奮したのであった。
帰りの車。
時間は4時50分。
東名高速道路は渋滞している。
必然と帰る時間が遅くなってしまいそう。
帰店を7時30分に目標を設定して、
川越え、山を越え、谷を越え、お店を目指していた。
刻々と時間が迫ってくる。
『あーーっと、
アーロンスミスはもう諦めたかもしれませんねー。
これはもう厳しい試合になってきましたねー。』
アオさんが解説を始めた。
『まだ、僕は諦めませんよ。』
僕の意思を伝える。
『ワールドクラスの選手が諦めてるんだから、
厳しいんじゃないですか。』
すると、
『これは厳しい試合ですね。』
ツグミさんも乗ってくる。
すーっと前に出るチャンスがあり前へ進むと、
他車に行く手を阻まれる。
『おーっと、今度は相手が攻めてきたー。
それにしても、厳しい相手ですね。
どう思いますか、五郎丸さん。』
『こういう時は、ジャッカルを狙うのが良いですね。』
ついつい、僕も乗って解説に参戦。
離れていた、マサシさんの車に接近して、
空いている隙間に入ろうとすると、
『アーロン・スミスを抜いたら、オフサイドだよ、玉ちゃん。』
マサヒコさんも乗り始めた。
『僕が前に行きたくても、マサシさんが前に行かない限り、
進めないんですか!!?』
『会話をしなくても、相手の動き、目線で感じ取る。
それがワンチームだよ、玉ちゃん。』
アオさんが、もっともらしい解説をしてくる。
時間が経ち、少しずつ店に近づくとともに、
ルールが決まっていく。
『目標とする7時30分に達しても、
止まらなけらば、試合は継続。止まったら、ノックオン。』
最終的に決まったのは、このルール。
店との距離が近づくとともに、
目標到着時間がギリギリだということが分かってくる。
まさに紙一重の戦い。
どんどん解説アオさん、ツグミさん、マサヒコさんも、
熱くなってくる。
残り1分。
これまでに順調にきていた、2台は信号で止まった。
青になっても、次の信号は赤。
ここで試合終了の合図がアオさんが告げられた。
『ノーサイド』
予定していた時間には到着できなかったが、
なぜか僕の車内では拍手が起きていた。
最初は4人だったのが
いつの間にかオノジンさん、カンナさん、ナオさんを含めた、
7人になっていた。
『良い試合だった。』
『良いモノを見せてもらった。』
こうして、僕たちに試合は終了したのであった。
後ろで寝ていたカイト、ショウタ、
大人たちがうるさくて、ごめんね。
全く海の話はしていないけど、
ちゃーんと潜りましたからね。
ちなみにこれが和製アーロンスミス。
本人の画像と見比べてみてください。
目元が特に似ています。
ゆきや