2017/2/11・初島 透明度10-15m 水温16℃
初島に激震が走る・・・。
インストラクターになってから18年、一度もなかったトラブルを
いま僕は目の当たりにしている。
教えたことをやらず、教えていないことをやるオーガミさんという人がいて、
徹底マークしていた僕の目線の包囲網をかいくぐり、
ウェイト真逆システムを完成させていた。
普通のベルトで考えて欲しい。
バックルを背中側につける人がどこにいるだろうか。
自然は、何が起こるか分からない。
人も、何をしでかすか知れない。
だから、ダイビングは面白い。
そのオーガミさんの自由を奪うべく手を握り、水中を見渡すと
まばゆい太陽の揺らめきをさえぎりるようにメジナ達が海面付近に集まっている。
カメラを動画モードに切り替えて360℃アングルをずらしていくと・・・
今しがたまでここにいたカワテさんがフレームインしてこない事に気づく。
そうだ・・・もう一人、自由を与えてはいけない人がいた・・・。
動画を一旦停止し、
どういうわけだか両手を万歳しながら再潜降しようとしてるカワテさんを迎えに行く。
サッカーで言うなれば、
メッシ級のフォワードを一人で止めろと指示されたディフェンダーの気持ちだろうか。
期待には答えたいが・・・ムリがある。
ふたりを目一杯、手一杯にマークしながら、
「一番経験が浅く、一緒に潜った事のないウエノさんが一番健闘しているではないか」
と、そう思った直後、水底でウェイトベルトを外して暴れ出したウエノさん。
お手玉で言うなれば、
2個でも出来ないと言っているのに、
3個でやってみてと子供に天真爛漫な眼差しでせがまれている時の気持ちだろうか・・・。
なんとかやってあげたいのだが・・・ムリなのだ。
そんな初島珍道中ひざくりげ。
帰り道。
スヤスヤと車中で眠りにつく大人たちのその横で、
今遊んできた大きな海から、でっかい月がのぼり始めた。
まさ