2017年10月ダイジェスト
シャツの首元から吹き込む風に両肩がすぼんで、
枝から振り落とされた葉っぱが、短パンからのぞく素足にあたっておちる。
とうとう10月。
もう、短パン半袖限界だ・・・。
海への車中もサーフミュージックより、
あったかい日本の情緒的バラードが良く似合う。
おいしいものと珍しい生き物との遭遇に想いを馳せながら、
かよった海の10月回想録。
2017/10/1・井田
華奢な柏木(略してキャシー)にハンドルを任せ、
席の後方に座った僕は、居合わせた外科医に自分の両手首の捻挫について指示を仰いでいる。
「湿布ですねと」眠たそうにその外科医が答えたので、
そうですねと、僕も寝ることにした。
キャシーの操るハイエースは、その今にも消えそうなか細い声のように静かに走り、
気が付くと山間のコンビニに休憩のための車庫入れの最中だった。
秋にも「春眠暁を覚えず」みたいな言葉がなかっただろうか・・・
あったようなきもするが・・・まぁいいか。
経験の浅い今日のメンバーたちと井田の海で2本潜った。
2本目陸に上がろうとすると、
僕のBCDに装着したはずのビーチサンダルが無くなっていることに気づく。
”それ”を止めていたバックルが外れてしまっていたのだ・・・。
慌てて海原を振り返るが沖に出る風に乗って既にサンダルは有視界にはなく、
あきらめるしかなかった。
「ドジこいた・・・。」
へこんでいるとキャシーが寄ってきて、
k:「サンダルですか?」
m:「え?ひろってくれていたのか?」
k:「いや、水中で浮いていくのを見ました」
m:「見届けただけか?」
k:「はい」
m:「なにーっ?」「どうして行かなかった?」
k:「忙しかったので・・・」
m:「そうか・・・」
「いやいやいやいや、でも教えるぐらいはできたろーがっ」
現地サービスのサンダルを借りて帰路に就く。
善意まで華奢なのか・・・
借り物サンダルの両脚は骨の髄まで寒々と冷やされていった。
写真は、
道中、争うように爆睡をむさぼっていた外科医渾身の浮力練習。
少し動きが硬いが、初めての水中を夢中で遊んでいたのが印象的だった。
陽だまりみたいな海の中をみんなでキラキラと。
2017/10/15・江の浦
みんなこの夏に初めてOCEAN TRIBEデビューの人たちである。
「カメ見たーい」なんて言うお決まりのリクエストを
これまたお決まりの「上手くなったらねー」なんて、軽ーくいなしながら、
小田原は江の浦の海の入る。
さーて、みっちり行くかぁーっ今日も。
と、ふと前方を見ると我が目を疑った。
なんと、一匹のアオウミガメが悠然と泳いでいるではないかっ!!!
「かっ、かっ、かかっ、かかめかめかめーっ」と指さしながら叫ぶも
聞こえるはずもなく、みんなからは見えない距離・・・。
「急いでっ泳いでっ、はやくはやくっ。」
って言っても、ついこないだダイビングを始めたばかりでそんなの無茶だし・・・。
仕方なく僕だけ加速して証拠動画を収めることに成功。
がしかし・・・
ひとりだけ楽しんだインストラクターとしての汚名をいただき、
同業他社のパイセンインストラクターからは、
カメを追いかけ現場海域から遠ざけたA級戦犯に祀り上げられて・・・。
写真は、
「オーシャントライブは運転してくれるから、帰りにお酒飲めるでしょう。そこが素晴らしい」
って毎回褒めてくれるエノモトさん。
大物見たいって言ってたのに、極小のウミウシを右から左から
最後は真上から食い入るように観察してましたよね・・・。
あとね、褒めてくれるとこ。
なんかもっといいとこ他になんかないすかね・・・。
運転だけじゃないでしょう???
2017/10/16-17 雲見・田子
僕とシュウレイさんがタッグを組んだのはかれこれ十数年前。
以来着実に、ときに休みながら続けてきたダイビングも今日節目の200本を迎え、そして超えていきます。
そのお祝いも兼ねて、ちょっといいホテルで思い出話に花をさかせながら、至福の1泊2日。
70を超えて尚、おてんばなシュウレイさんと、40を目前にした僕とあと何年タッグを組めるでしょうかね?
10年は行けるかな?
まぁこんなふうにおいしいお酒を飲みながら行けるところまで行きましょ。
海況に恵まれて。
美味しいものをいただいて。
良いメンバーに囲まれて。
アキラさんのブルーラベルであっという間に幸せな夜は更ける。
もう一度言うよ。
至福の二日間。
おめでとうシュウレイさん。
2017/10/21-22 田子
予想よりも台風21号の影響が早くに出始めてしまった。
当初の雲見の予定は変更余儀なく、田子に落ち着く。
じたばたしたってしょうがない。
のんびりいこう。
どっぷりと田子の海底に浸かり、
雨の音をBGMに昼寝したりお昼を食べたり3時間ほど休憩をとる。
秋雨がシトシトと、うっすらと色づき始めた木の葉を濡らしている。
泊りはいい。
ゆっくり海で過ごして、この後どうしよう。
温泉がいい。
温泉出たらどうしよう。
美味しい夕飯が待っている。
美味しいもの食べた後は?
眠くなるまで、飲みなおそう。
クニマルを酒の肴に。
2017/10/24-25 雲見 ・安良里
左から
まみこ・せつこ・まさのぶ
平日のお泊りツアー。
とことん写真を撮ろう。
ぼくのもっともテンションの上がるリクエストで気合が入る。
しかも母せつこ(通称)と一緒であり、
せっちゃん自作の魚図鑑に載っていない種を発見することにもモチベーション上がる。
んがしかしっ、台風明けの海はそんなに甘くない。
視界はほんの3mほど。グラつくうねりが所々に入りカメラのフォーカスを狂わす。
生物も落ち着かない様子で、
群れからはぐれた生き物ソワソワ。
数日間の空腹でごはんを探さなくてはならないのに、
定着できる居場所が無くてウロウロ・・・。
とんでもない大岩が本来の洞窟の入り口を完全にふさいでしまうような台風の脅威の後で、
でもああやってたくましく生きている魚たちがなおさらいとおしくなる。
ということで写真には厳しい2日間・・・。笑
夜は近くのおそば屋さんで夕食と晩酌を。
旧知の三人だからね、会話はすぐに深いところまで。
歯に衣着せる間柄ではないからね、あっというまに夜はふける。
アカネテンジクダイ
ヒレナガネジリンボウ
ハチマキダテハゼ
それらを見ることができて良かった。と、
せっちゃんが言ってくれたのでオールOっK!!
2017/10/28-29 田子・井田
2週連続台風の直撃を受けそうだ・・・。
先週のことがあるから、初日の田子で3本潜っておこう。
この作戦が振り返ると実に素晴らしかった。
この日のメンバーもみんな10年来の付き合いで、一番本数の少ないゆかりでさえ200本。
おかちゃんが500本
よねでぃが300本
ゆかりが200本
の記念ダイビングをみんなで祝おうっ。と。
何度も一緒に入っている海で、
一人言のようなブリーフィングを形式上すませて早速おのおのの深みにはまっていく。
阿吽の呼吸で要所要所でしっかりとアイコンタクト。
姿が見えていなくても、進む方向を熟知してるから誰も迷子にはならない。
ハイレベルな海をノープランでもしっかり遊べる人たち。
う~んおれ、
いらないね。
そして3本目。
ゆかりの200本目のダイビング。
1本目ワイドに、2本目マクロに攻めたから、
3本目はカメでも狙おうかと”沖ノ島”に入る。
何かを感じた。
あらわれたアオウミガメに友情みたいな何かを感じた。
気持ちを汲んでくれたアオウミガメは1分ほど一緒に泳いでくれた後、
我々に両手を振りながら遠くに泳いで行った。
おかちゃん、
よねでぃ
ゆかり
おめでとう。
かめさん、
ありがとう。
ずっと続きますように。
最後に、
10/6-9のミカと行った屋久島の1ショットで10月のお別れです。
遊び疲れて見る夢は、
どんなだったでしょう。
10月ダイジェストおしまい。
まさ