2019/10/3-7・屋久島 透明度15-40m 水温26℃
世界自然遺産有する屋久島の海底に、スナイパーがずらり。
屋久島の海を潜り倒したいと、ガイドのイタル氏を独占し、
ファインダーに集中する。
この時の獲物は「ホタテツノハゼ」
誰かが突出すると警戒心の強い標的は一目散に、
共生するテッポウエビの巣穴深く隠れてしまうため、
そのギリギリの間合いに伏せて狙う。
この旅で何度こんなシーンが繰り広げられたかしれない。
完璧な写真ばかりではなかったかもしれない。
でもこうして屋久島の「自然」(生き物、星空、森)
の事だけ考えて、夢中で過ごせたことは、
忙殺されている思考に、何か大事な余白を思い出させてくれた。
あえて山は登らずに、海だけに集中した屋久島の4日間。
初日の海を終えて、2日目はゼロ戦におじゃま。
魚やエビ達にとって広大すぎる一面砂の海底に、
大戦中の日本の戦闘機は静かに朽ちている。
そこには生き物がひしめき、今も壮絶な主戦場であり
生き物たちにとっての居城であり、またある生き物に
とっては狩場になっている。
僕等がゼロ戦へと深度を下げていくと、
アザハタはこの居城が砂に埋もれぬよう、尾鰭で砂を
外側へとかきだしていた。
カンパチの襲来に驚いた小さな魚たちはいっせいに
ゼロ戦へと避難し、またすぐ自分たちの狩りを再開する。
エビたちはせっせとウツボのカラダに登り、右手左手を
交互に口に運んで何かを食べ、ウツボは気持ち良さそうに
その行為を歓迎的に受け入れている。
ここではおびただしい生き物達がお互いの役割を持って、
持ちつ持たれつの生活をしているように見える。
何分でもここにいたい・・・
が、役割のない我々に居場所はない。
ここは、ゼロ戦の後に入った「横瀬」というポイント。
これほどのコガネスズメダイの群っ。
ほかのも凄いいるーっ。
これぞ温帯と亜熱帯の生き物の混沌とした、
屋久島ならではの景観だと、イタル氏は胸を張る。
ある種の群れと、別の種の群れがこんなにも種類豊富に、
しかもこの一地点に集合するのには何があるのだろうか。
今はただただ、驚愕の光景に唖然とするしかない。
カメラに、目に、焼き付けるのが精いっぱいだった。
その翌日、
良く晴れた気持ちのいい朝(のち大雨になる・・・)、
島の西側に位置する「永田」へと向かうが、明らかに
昨日の潮色と違う。
黒潮の影響を色濃く受ける永田らしい青さっ。
小さい生き物には、物理的?視力的?にイマイチ
興味をそそられないアダルト男性陣と一緒に
イタルチームと別れ、地形と透明度、そしてこのキビナゴ
に遊ぶ。
鬱蒼と頭上に塊をつくる、何万というキビナゴの大群。
水面の光にキラキラと反射しながら僕ら全員をあっという間に
包んだかと思うと、その次の瞬間にはまた黒い塊に戻る。
本来3分でいいはずの安全停止を、何分したんだろう。
キビナゴショーは、ずっとずっと、
たぶん今僕がこの文章に向き合っている今も、
続いているんだろう。
こんな豊饒の海でナベ50本ダイブ到達っ。
大自然の中で、いつにも増して自由奔放になった君に、
乾杯っ。
世界自然遺産に汚点一つ残して、のうのうと祝福を受けた
君に、完敗・・・。
そしてなんといっても、
屋久島の代表的ダイブスポット「一湊タンク下」と「宮の前」。
レイナとせっちゃんのカメラの銃口が一閃すると、
獲物は次々と、ファインダーに収められていく。
せっちゃんの生物図鑑はとうとう800種を超え、
またさらに進化を続ける。
レイナは自社製のライフルと拳銃を使いこなし、
マクロにワイドにその精度を上げている。
食い込むようにクサカベさんはそこに割って入り、
えものを貪欲に狙う。
ちーは、
屋久島の自然とこの三人に、圧倒されながらもついていく。
そして、
男たちは夜の宴に備えて、青い波間に漂う。
屋久島が見せてくれた星の輝き、
屋久島が聞かせてくれた清流の轟き、
屋久島が見せてくれた、命の瞬き、
屋久島が歩んできたほんのひと時・・・。
拝啓、屋久島さま
4日間お世話になりました。
またここに来られることを楽しみに、
やはり僕たちも混沌とした現実に戻ります。
ありがとうございました。
まさ
おまけ。
屋久島入りの前夜に鹿児島にはいった我々は、
鹿児島の黒豚を頂くために、下調べしておいた居酒屋
に急行する。
居酒屋「つく根」。
黒豚トマト巻き・黒豚レタス巻きが旨かったっ。
黒豚のしゃぶしゃぶも美味かったし、
地鶏の料理もおいしかった。
またこの前夜祭もやりましょう。
歩きすぎたジュンさん、
お疲れ様でしたっ。(笑笑)