2017年 9月のダイジェスト
水があったかくて、綺麗で、そして穏やかな、
名残惜しい季節はすぐに終わってしまう。
夏の余韻を残してあっという間にいってしまった9月の回想録。
2017・9・2 井田
渋滞という魔物と戦い続けた高速道路も、
スペースの確保が勝負だった波打ち際も、
冷え性と、暑がりの永遠の空調バトルも、
9月のスイッチが入るとそれらすべては適度適切適温の平静を取り戻す。
熱気に満ちた夏の余韻を少しだけ残して、快適な秋は来る。
井田の海岸で、潜り終えたみんなと記念写真。
初心者の中にちょいちょい混じるベテランの顔。
経験が浅くドキドキ潜っていくその横で、
ブランクが空いてドギマギと潜っているベテランたち。
大丈夫。秋の気候が、秋の透明度が、そんな全員を暖かく包み込む。
ベストシーズンの始まり始まり~。
2017・9・3 田子
9月の田子の透明度や魚影は凄まじく、
なんど同じような群れの動画や、風景写真を撮ってしまったかしれない。
このブログを書こうと9月のフォルダーを開けると
我ながら自分で撮りだめたデーターの類似に錯乱してしまう。
極小の生き物を観察するのは楽しい。
だけどそんなことをしていたら、ものすごい大物や、
ドラマティック&ダイナミックな瞬間を見逃してしまうのではないかと落ち着かない。
そんな海だった。
タイトルにも使った写真は田子のコチョウアラシというこの日の水中洞窟。
この中にもハタンポの群れやイセエビたちがギュウギュウとひしめいていて、
美しい青と漆黒のコントラストのなかを、小一時間ほどゆうゆうと泳いだ。
そこから、車を走らせ沼津の弥次喜多へ。
海に満たされて、腹も満たされて、Tシャツ短パンの残暑を愉しんだ。
2017・9・8 田子
この日も田子へ。
デジタル一眼カメラ軍団と、
アドバンスをとって間もない軍団とに分かれて沖の浮島根に向かう船上でパチリ。
すごく楽しそうな写真ではあるが、実は・・・この中の一人、
初めての外海のダイビングに緊張し、顔がかなりひきつっていた。
精一杯口角を上げてはいるが、目の奥までは操作できない。
そのことを指摘するとどっと笑いに包まれた船上。
その瞬間の一枚なのだ。
そして、そんな緊張をほぐすために、
タンクブーツを被って和ませようとするスーパーインストラクターがいたことを、
君は忘れてはいけない。
2017・9・10 江の浦
この日の日差しは、あきらめかけた日焼けへの情熱を思い出させてくれた。
濡れていた身体はあっという間に乾き汗がにじむ。
海上がりのシャワーを浴びると少しだけ皮膚がひりひりが痛む。
かみしめるように、おそらく今年最後になるであろう日焼けを楽しみながら・・・。
みーんな初心者。
江の浦の海底を削るもの、
不用意に水面まで打ちあがっていくもの、
日焼け止めが目にしみて痛いからダイビングをやめますとわめきだすもの、
眠たそうにほとんどインストラクターの話を聞いていないもの、
潜り終わった後は日本酒喰らって勝手に上機嫌極まりないもの、
みーんな不届き者。(笑)
ご飯は熱海組も合流して一緒に。
集合写真も気持ちのいい空の下で。
それなのに・・・
ピースした自分の影を入れたくなっちゃったスナオのせいで
空3:海2:コンクリ5・・・。
唯一の心残り。
2017・9・16 井田
この日もみっっちり練習。
みんな初心者。
でもね・・・その”練習地”が楽しすぎる。
どこまでも見渡せる澄んだ海水に魚たちが乱舞し、あっという間にぼくらを取り囲む。
こっそりみんなを見守ってるふりをしてちゃっかりぼくは群れを眺めたり、動画に収めたりしていた。
時効を迎えた今なら言える。
浮きそうになったエノモトさんを見ていると、
浮力操作での再潜降を早々にあきらめて、猛然と水底向けて泳ぎ始めた。
その勢いすさまじく、海底に突き刺さった後抜けなくなってしまうイメージが脳裏をよぎった。
あの不動のコロダイのように、水底から1mのところでピターっと止まれるように、
当面余裕そうな顔のあいつをライバルに、頑張りましょう。
2017・9・18 大瀬崎
くぅーっおれもビールが飲みたい―っ。
呑めないのは未成年のしおちゃんとなつきと、インストラクター兼運転手の僕と。
ビールを手にした人々はみんな満ち足りた顔をしている・・・。くぅーっ。
この日も初心者ツアー。そして大瀬崎に入る。
透明度こそ今一つではあったが、なんとっ、ハチが現れたっ。
夜行性のハチは、昼間は砂の奥深くに潜っているためにまず見ることができない。
みんな見たこともない羽根のはえたこの奇怪な魚に不思議そうな眼差しを向ける。
別に空を飛ぶわけでもないのに羽が生えた魚は結構いる。
その代表格はこのハチ。
名前の由来もおそらく見たまま蜂なのではあるまいか。
せめてハチウオとかねぇ・・・魚らしい名前をねぇ・・・。
2017・9・22 田子
こんないい日ぼくを海に連れ出してくれてありがとうございます。
ずいぶんゆっくりと時間が流れて、
車中も海中も食事中もずっと家族旅行の域を出ない、みたいな。
洞窟に降り注ぐ太陽の光を水底にあおむけになって受けていたシュウレイさんを、
僕はずっとファインダーにおさめていた。
カワキタさんは地元の肴に舌鼓うっちゃぁ酒をぐびり、
外に出てってタバコをくゆらせちゃぁにこり。
まるで恵比寿様のような表情を伊豆の空に浮かべておりました。
嬉しい出会いも2つ。
センテンイロウミウシ
と、
スザクサラサエビ。
特にスザクサラサエビ。
一見ふつう種のサラサエビとして見落としがちですが、ちょっと違う。
この違いを見抜けたら、
あなたもサラサエビの中にこの子を探してしまうことでしょう。
2017/9/23 大瀬崎
ダイビング練習に真摯に向き合ったのち、毎度立ち寄る弥次喜多で。
世代も国も飛び越えて、”おいしい”を提供してる定食屋。
台湾から来たニーニーも嬉しそうにフライをほおばりご満悦。
でもね、僕は台湾にも行きたいのですよ。
ジブリの映画の”千と千尋”に出てくる、あの、お父さんとお母さんが豚になるまで食事を楽しんでしまう、
あんな屋台がそこかしこにゴロゴロあるのでしょう??
ニーニーに聞いたらぜひ来てほしいって。
美味しい店一杯あるって。
案内してくれるって。
与那国島からわずか100キロの台湾!!
海キレイ、飯旨い → 行くしかない。
台湾ツアー企画しますっ!
みんなで豚になりましょう。
2017/9/24 田子
素晴らしき田子の海。
なんだかんだここに来てしまうんだね今年の9月は。
1本目と2本目の間に休憩時間があまりとれなかった。
でも2本目は窒素もたまらないすごく浅い海。
「休憩の続きは水中でしますので」
海の中に潜ること小一時間。
真っ青に照らされた海底に仰向けで寝転んで目を閉じてみたり、
水底から離れた中層を、無重力になって魚群に囲まれたりした。
勝手知ったるメンバーで、勝手知ったる海で、勝手気ままに潜る。
ナイススタイル。
2017/9/28・井田
大学生も社会人も一緒になってこの日を過ごした。
職種も色々、人生も色々、でもこの日は一緒んなって海に入る。
ほんの一瞬交差するみんなの一日。
次に会えるのはいつだろうか・・・約束してるわけじゃないからわからない。
でもまたいつか会えるような気がするよね。
そう信じて解散する。
海の中で出会ったアサヒガニ。
この遭遇は人生で2度目。
個体数が少なく、砂の中にほぼ潜っているその習性から、見られるチャンスが極めて少ない。
不器用そうなフォルム。砂に潜るそのしぐさ。目をひっこめるチャーミング。
次にいつ交差するかしれない貴重な出会いを惜しむように、
アサヒガニとの時間をしばらく楽しんだ。
そして、
再会を信じて、我々は浮上する。
2017/9/30・田子
まるでブルーカラーの昼食風景のように男臭く飾らない感じがとてもかっこいい。
うちのお店に通う超重量級がそろってしまったツアー。
重たそうに走るハイエースとは裏腹に、
無重力の恩恵を受けて水中を軽やかに動き回る重量級の方々。
弥次喜多のご飯も大汗かきながら、フライでもビールでもごくごくと飲みほしていく。
9月最後の海は、このひとたちのはしゃぐ水中映像でお別れ。
さらば9月。面白い動画を見ながら明るくお別れしよう。
また来年もいい9月でありますように。
また来年も元気で9月を迎えられますように。
まさ