2020.02.10(月) 熱海 透視度15m 水温15.8℃
今まで僕は色々な物を手に持ってきました。
綺麗なもの、汚いもの、気持ち悪いもの、
そして、ちょっと危ないもの。
ただ、唯一触ってこなかったものがあります。
それは、命の危険を感じるもの。
これだけは触ったことがない。
いや、触りたくない。
野生の勘でこれはダメだ!っというのは触ってこなかった。
予定よりも強いうねりが熱海の小曽我洞窟に入ってきていた。
ウミウシを見たくても、その場に留まれない。
右に左にぶんぶん振り回される。
この自然の力には誰も勝てない。
人間も、ハコフグも、コウイカも。
彼らが一生懸命に泳いでも前に進まない。
それを見た僕はコウイカの背面にそっと手を近づけた。
すると、うねりの力に押されて、
コウイカが手の中に吸い込まれるように入ってきた。
『ラッキー!!』
皆を集めて、自慢する。
笑いながら、写真を撮るミズキちゃん。
まじまじと見るミクちゃん。
そして、羨ましそうに眺めるサホさん。
そうサホさんに見せてしまったのが全ての間違いだった。
洞窟を抜けだし、各々が生物を探す。
ウミウシであったり、ナマコであったり、ベラであったり。
すると、サホさんがミズキちゃんの方へ向かって泳ぎだした。
手には何か包んでいるようだ。
『うねりで飛んだウミウシでもキャッチしたのかな。』
その時僕はそう思っていた。
遠くから2人を見ていると、
ミズキちゃんが大慌てで、手で✖を作っている。
何か変なのを取ってきたなと思い、ゆっくり近づいてみると、
ミズキが興奮気味で阻止した意味がすぐに分かった。
ヒョウモンダコ。これを手の中に包んでいた。
知らないというのはなんて恐ろしいんでしょう。
ウィンターグローブしていたから、良かったものの。
『カッコ良かったんだもん。』
どんな言い訳ですか。
僕は今後彼女の前では水中で変な事をするのは、
やめた方が良いのかもしれない。
そう気づかされた1日。
最後にこの場をお借りしてご報告。
この日より前スタッフのリューさんが、
非常勤スタッフとして潜ることになりました。
スタッフ時代を知っている人、知らない人、
いろいろいるとは思いますが、
今後一緒に潜る機会が増えると思いますので
どうぞよろしくお願いします。
悔しい話ですが、間違いなく僕より生物を知っています。
ただ、僕の方が体力と筋肉はあります。
あと、食欲も。
お玉