2018/10月・ダイジェスト
揚力を失った僕の肌はみるみる白くなっていった。
なんだか咳も止まらない・・・。
夏場を駆け抜けてきた男らしさは!?は、面影なく、
気温の低下と共に、フィジカルまで低下してしまったようだ・・・。
写真に撮られた僕の姿は弱そうで、いったい何の瞬間なのか、
10月のぼくをあらわしているような気がする。
思い出した。
グッドコンディションの安良里で振舞われたサンマを
おいしさのあまり食べすぎたときの・・・。
気をつけるんだ雅伸。
今の君は昔の君ではない。
たったの食べすぎごときで崩れていくこともあるのだ・・・。
それが顔に出てしまっているぞ。
大学生の二人と、その彼らの親御さんの年齢も凌駕しそうなアダルトの面々と・・・。
(コンナコトイッテドウカオコラレマセンヨウニ・・・)
台風に頭を悩まされた今年の10月は、田子ツアーで始まった。
懐かしの顔ぶれがそろい、実力も申し分ない。
だがしかし、
潜る予定だったポイントから、本来水面に伸びてるはずのブイがない・・・。
台風でロープが切断されたのだ・・・。
船からのぞき込んだいつもはきれいな海も、
土の色を交えて視界がほとんどきかなそうだ。
ブイを探していた手を止めて、船長の山本さんが面白い提案を始めた。
「根はこの真下だと思うから、マサ君が潜降して根に着いたら、
そのマサ君が吐きだす泡を目掛けてみんなを投入するから」
:「出来るのか・・・?そんなこと・・・。」
なにはともあれ言われるがまま単身潜降開始する・・・。
5m・・・10m・・・15m・・・20m・・・・。
:「根なんてどこにも無いーっ、暗いーっ、浮上浮上ーっ。」
浮上した僕を待っていたのは、不安そうな顔の常連たちと、
「やっぱり無理だったか」と、悪戯そうな笑顔の船長と。
やはり台風24号、25号の影響は長引いた。
この日の田子も割と精鋭で深場をじっくりと攻めたが、
目新しい生き物を見つけられなかった。
被写体になりそうなものを見つけては、それが希少種であろうとなかろうと、
良いアングルであったり、綺麗な背景を意識したり、
精鋭たちは悪いなりの戦いをしっかりと遊んでいる。
じっくり腰を下ろしてファインダーをのぞき込む精鋭たち。
その傍ら、スキルが熟していないジュンさんは、
浮いてったり、他のチームについて見えなくなったり、
ひっくりかえったり、珍プレーの連続技を繰りだしていた。
ネタの乏しい海でそこに集中したい僕の警戒のアンテナは、
彼の為に常に最大値に引き上げられていた。
そんな僕の気も知らず、お昼のそば屋でエンジンのかかった彼は、
帰りの車中でもウィスキーのコーヒー割りを作ってはゲバゲバと笑い、杯を重ねていった。
そして、今年のオレはどうしちゃったんだろう・・・。
咳が止まらない + 色が白い = 弱そう = サメも僕のことを恐れない。
9月に入り、10月になっても僕は必ずハンマーヘッドシャークに会えたし、
いまにも襲われそうなくらい近づいた。
神子元島だけにとどまらず田子の海でも遭遇した。
今までの希薄な大物運はとうとう、
自らのオーラをそぎ落とすという作戦により開運したのだった。
荒波の狭間に、船への合図の旗をたなびかせ、浮かんでる僕らはちっぽけだけど、
今見てきた光景に、大きな喜びにあふれている。
この時、100本目の節目のダイビング、おめでとうオノジン。
君の手料理、これからも食いたいのでダイビング続けてください。
タカアシガニのような長い手足を有する彼の記念の旗には、
ハンマーヘッドシャークが描かれることはなかったらしい・・・。
屋久島での4日間も至福の想いで。
台風の中で我々の飛行機だけが入島に成功し、
海も山も美しい光景を独り占めに出来てしまった・・・。
人の少ない大自然はいつにもまして荘厳だったなぁ・・・。
僕の10月の想いでは、この後の石垣島でフィナーレを迎える。
まさ