2019/10/11-14・屋久島 透明度5-15m 水温25℃
霧が木漏れ日に沿って降りてきて、
一面緑の斜面はあっという間に分厚いレースに覆われて、
苔の葉先にはクリスタルの装飾がキラキラ。
立ち止まると、深い静けさに、
自分の吐息とカケスが飛び立つときに発しただみ声が
遠くに聞こえる。
みずみずしくってひんやりとした空気が、
喉に潤いを与えながら心地良く肺に満たされていく。
音もなくいつの間にか目の前に立っていたヤクシカと目が合い、
しばらく動けずにお互い見つめ合った。
所々、立ち止まって集合写真を撮ってもらった。
その時以外は、みんな、「森とひとり」。
空っぽになって、自分の中の森に入り込む。
苔の狭間から今年芽吹いた一年目の杉は、
そびえる何千年の先輩たちのわずかに見落とした隙間から
太陽をもとめ、
誰も何もしてくれないこれからの千年をどう生きていくんだろう。
太鼓岩の眼下に広がる、今登ってきたあの森は、
そういう一つ一つが集まって出来ている。
何分も、
何分でも、眺め続けられる。
深い森、蛇行する川の流れ、雲、海を眺め何分も。
屋久島の苔むす森を抜けて、源流を手ですくい、
木々の間をすり抜け登った白谷雲水峡の山歩きは、
ここが一つのゴールになっている。
10月第2弾の屋久島ツアーは、台風の影響を回避しながら、
多くを屋久島の陸の上を遊び倒した4日間。
これほど陸に遊んだオーシャントライブは、
未だかつてあっただろうか・・・。
海の様子はどうやら厳しいようだ・・・。
イタル氏は湿った口調で、
一向に収まらない海の様子を伝えている。
猛威を振るった19号の波は、予想よりも長引いていた。
レンタカーに載って翌日も山に向かった我々は、
紀元杉を見に行き、独自ルート?で巨木を探したりした。
道端に咲く、
恐ろしくセンスのある紫の花とオレンジの実をつける樹に
心奪われて写真を撮ったり、
轟く滝の下に立って、マイナスイオンと言うには濡れすぎる
気流を浴びたりもした・・・。
海辺の、島民が昔から使用しているという
ほぼ混浴の露天風呂にも入った。
水着禁止の、板一枚隔てた入浴に野生を感じながら、
でもそのぬるさに風邪をひきそうになった。
小さな町のはずれにある蕎麦屋の評判を聞き、
ナビを頼りに、細い砂利道やでこぼこ道を恐る恐る進んだ。
同時に料理を出せないことから、6人以上の団体は断ってしまう
小さなお店がそこにあって、
僕の頼んだお蕎麦は本当においしかった。
そして、食後のデザートも、
わたしたち、ぼくたちは忘れない。
(その時のつぼっちと、シオツキさんの少年のような笑顔も忘れない)
そして、3日目の朝。
とうとう海は開かれた。
湿っていたイタル氏の受話器から、やっと、
「おいでくださいまし」が聞けた。
イタル氏もホッとしたに違いない。
海は優しく迎え入れてくれた。
台風の猛威から、アザハタは居城を守り抜いたようだった。
おびただしい生命がいつもと変わらぬ逞しさで、
折り重なり生きていた。
1日海にどっぷりと入れただけでも、ツイている。
一日ズレると屋久島にさえ
上陸できなかった方達もいっぱいいるのだ。
ほんとうによかった・・・。
その自然からのギフトに恥じない宴を毎晩ぬかりなく。
神々に感謝の気持ちを込めて、たくさん飲んでたくさん笑って。
最終日を迎えた我々は、マスクとスノーケル、
ウェットスーツだけをもってまた海へと出かける。
タイドプールとサンゴ綺麗なリーフで最後まで海に浸かって
遊ぶ。
お尻だけ水面に残す不細工な素潜りを繰り返し、
少しづつ深く潜れるように上達した。
水深30cmのタイドプールで遭遇したシロオビハゼに大興奮。
イタル氏が次々に紹介するヤドカリ達の可愛さにズキューン。
イタルと深酒してしまい2人風呂で眠り込んでからの、
カップラーメン&ウィスキーで、飛び切り気持ち悪い僕も
イタルも力の限り遊んだ・・・。
力の限り登って、
思いっきり潜って、
最後の力振り絞って泳いで、
(ぼくは帰ってきてから力尽き体調を崩して・・・)
やはりまた僕らはここを目指して来てしまうのでしょう。
思いっきり自然を感じに、また戻ってくるのでしょう。
二転三転する旅行程に合わせて、付き合って頂いたみなさま、
ありがとうございました。
ぎすぎすせずに、楽しい思い出に出来たのも皆様の人柄と、
屋久島の濡れすぎるマイナスイオンのおかげです。
何かに守られているような気がした4日間。
ありがとうございました。
まさ