2016/1/23・初島 透明度8-10m 水温14℃
北国を思い出させる凛とした空気が薄暗い空を満たしていて、
煙のような蒸気を吐き出す度に、清々しく新しい空気がまだ眠たい身体に送られてくる。
海に向かう朝。
今日の他のメンバー達ももう動きだしているだろうか。
この繋がった薄暗い空の下でごそごそとヒトシレズ今日の海への期待を探り、
強烈な眠気と寒さに耐えながら準備をしているのであろう。
そんな姿を勝手に想像して、もう一段階体温を引き上げる。
冷え切ったハイエースのエンジンに火を入れてしばらく暖気する。
凍てついたフロントガラスに冬用に充填したばかりの凍結防止の
ウオッシャー液を噴射し、ワイパーを過活動させる。
身近なものが音を立てて動き始める。
あと、1時間で太陽が昇る。
薄暗い冬の朝。海に向かう1日のはじまり。
熱海から観光フェリーに乗り換えて25分。
静岡県が有する唯一の島、初島へとわたる。
本来なら島時間を感じながらゆっくり海に浸かるのだが、この日は2隻ある連絡船の
うち、1隻がドック入りしているためにいつも熱海へ戻る時間の船が出ず、
一つ早い便へと繰り上げなければならない。
多少あわただしいながらも2本のダイビングを済ませ、充実の生物たちとの出会いを楽しんだ。
いまだ南方の海から流れ着いた生物が多く、写真のようにペアのカミソリウオがゆらゆらと、
まるで雪のような海中の浮遊物のあいだを泳いでいた。
お待ちかねのランチは一吉丸。
早い船で帰ってこれた分、しこたま食べて、飲んで。
みんなの喉をゴキュゴキュと通過していくビールの音色をうらめしげに聞いていた僕とマサシに
女将さんからノンアルコールビールの差し入れがあった。
胸も腹もいっぱいですっ。
ごちそうさまでしたっ。
心も温まった、冬の海のお話し。
まさ