2018/11/22-25・セブ 透明度15m 水26℃
セブ空港に迎えに来てくれたバスは、
ところどころ傷んだ舗装にガタガタと揺れながらフィリピンの
日常をすり抜けていく。
エルヴィス(現地の添乗員)の頑張ってる日本語は、車窓の日常
を説明してくれている。
いまにもこぼれ落ちそうなほど、おおくの人々を乗せたバイク、
軽トラから放たれるクラクションにまったく動じない歩行者、
その沿道に並んだトタンの軒先には、やはりこぼれ落ちそうなほ
どのココナッツやバナナ、マンゴーがうずたかく並べられ、
店を任された少女がうちわでハエをはらっている。
その建物の裏の空き地には、繋がれたヤギが草をはみ、
全てのしがらみから解放されている犬や猫、そしてニワトリが
互いの存在をまるで気にすることなく歩いていく。
アキラさんが言う。
「日本も大正時代はこんなだったんだよな」
ぼくは、「その時代生きてなかったんで分かりません」
というと、少しアキラさんに怒られた。
一日の平均日当は380ペソ(1ペソは2円ほど)。
乗り合いの改造軽トラに乗るのは7ペソ。
市民の足は、この定員をはるかにオーバーした軽トラか、
やはり定員を無視した3輪バイクだとエルヴィスは教えてくれ
た。
あとエルヴィスが10人兄弟であることも。
南の島、セブの日常をひしひしと感じながら、
宿泊地”ホテル シャングリ・ラ”へと向かう。
一歩敷地内に入ると裏と表をひっくり返したように景色は一変す
る。
ありあまるスペースなのに隅々まで手入れが行き届き、
人がまばらに、気ままに、寝・食べ・ゆるゆると遊んでいた。
この旅のコンセプトが、あたたかいところで
気ままに、寝・食べ・時には潜ろうということであるため、
このシャングリラの景観を目にしたとたん、願いは達成されると
確信する。
海を見ながらのディナーは良い。
そう思った翌朝、
海を見ながらのモーニングはなんて気持ちが良い。
そう思っていた。
出来立てのオムレツを食べて、濃いめのコーヒーを淹れてもらい
ビュッフェの朝食を済ませると、午前中はマクタン諸島の島々で
潜る。
横揺れのない特殊な形のボートは、気温30℃の快晴の空の下を
文字通り滑るように走り気持ちよかった。
200本の記念を迎えたリエを囲んで海中で集まって、
クマノミを執拗に紹介する現地ガイドとは、距離をとって・・・笑
あまり深場を攻めない体に優しいダイビングは、
水温28℃の海水に身を委ね、うたかたのような時間を漂った。
午後からは、リゾートライフ。
ビーチのバー
スパ
読書
スノーケリング
プールサイドで昼寝
エステ
ランニング
ビリヤード
それぞれの時間をおくる。
そう。
これがこの旅のコンセプト。
だがこれは違う。
おもいのままに寝・食べ・あそぼうというコンセプトではあるが
食べながら寝てしまうというのは少し違う。
ちゃんとしたチャイニーズレストランで食事を楽しんでいるとき
寝てはいけない。
リエはもう、赤ちゃんではないのだから。
僕は不思議だと思う。
こんなにのんびりと、優雅に過ごしているのに時間があっという
間に過ぎて、帰りの日を迎えてしまうということが。
のんびりしてればゆっくりと時間が流れるべきなのに・・・。
換金したペソは底をつき、
やはりうたかたのように4日間は過ぎた。
眩しい記憶となって、過去になる。
ひどく肥大したお腹だけを、現実(いま)に残して・・・。
まさ